スター・ウォーズ ブラッドライン 下 (角川文庫)

詳細

• タイトル: スター・ウォーズ ブラッドライン 下 (角川文庫) de クラウディア・グレイ
• ISBN: 4041064155
• ファイル名: スター-ウォーズ-ブラッドライン-下-角川文庫.pdf
• 発売日: 2017/12/21
• ページ数: 304ページ ページ
• 出版社: クラウディア・グレイ

『ジェダイの帰還』と『フォースの覚醒』をつなぐブリッジノベル。むしろ『フォースの覚醒』よりこっちのほうがはるかに面白いのでは。古いファンほど飲み込めないレジスタンスVSファースト・オーダーの対立構造。元老院や新共和国軍はどこに行っちまったんだ！と思うのは当然のことだ。本作はそのへんの疑問にしっかりと答えてくれる。ポイントは下記のとおり。●新共和国のカリスマ、モン・モスマはすでに引退。モスマなき後の元老院はセントリスト党とポピュリスト党の２つに分裂した。２つの党の最大の違いは「中央政府のあり方」。セントリスト党は強い中央政府を持つべきだと主張。ポピュリスト党は新たな帝国を生まないために各惑星に強い権限を与えることを主張。（上巻P8）←中央集権VS反中央集権の争いである。●新共和国の首都はホズニアン・プライム。元老院もこの惑星にある。←だから『フォースの覚醒』でスターキラーはコルサントではなくホズニアン・プライムを破壊した。（劇中で一瞬登場するレイアの補佐官見習いのコー・セラも本作で登場。）●ポピュリスト党の右翼グループは各惑星が再び完全な独立国家になるように元老院を解体したがっている。極左グループは一般市民に投票権を与えたがっている。（上巻P233）●強い中央集権を目指す右派セントリスト（元老院議員カリース・シンディアンら）は帝国軍の残党と手を組み密かにファースト・オーダーを称する政府を打ち立てた。（下巻P109）←本作でもっとも重要なポイント。新共和国元老院に腐敗が広がっていることが良く分かる。●セントリストの議員（ランソム・カスタルフォ）によりレイアがベイダーの娘だということが元老院で暴露される。それによりレイアは主席議員になれずに、実質的に表舞台には出られなくなった。息子のベン・ソロもこの事実をここで始めて知る。（下巻P128）←はっきりとは書かれていないが、この時期ベンはルークの元で修行中の模様。母親から「ベイダーが祖父である」という自分の出生の秘密を聞かずにニュースで聞いたら、そりゃグレるだろうし、それを知っていたのに話さなかった師匠ルークも恨むだろう。ダークサイドに落ちた理由のひとつと考えてよい。●レイアとハン・ソロの遠距離婚は意外とうまくいっている。←『フォースの覚醒』を見るとどれくらいぶりの再会なのか分からなくて非常に気持ち悪かったが、意外と会っていたことが分かる。（下巻P220）●レイアがスキャンダルによりポピュリスト党の主席議員に立候補できなくなったため、タイ＝リン・ガーが出馬するが、帝国シンパでセントリスト党と密かにつながっていたテロリスト集団「アマクシン戦士団」リーダーのアリーズ・ハドラシアンに殺害される。（下巻P271）←レイアがスキャンダルで失脚し、ナンバー２のタイ＝リン・ガーも暗殺。これでポピュリスト党から主席議員が選ばれる可能性が極めて低くなった。●セントリスト党は反目しながらもレイアに近い立場にあった党穏健派ランソム・カスタルフォを「アマクシン戦士団」とつながりがあったとして反逆罪で逮捕。身内の議員すら切り捨てる暴挙に出始める。（下巻P275）←ファースト・オーダーの登場が間もないことを示唆。●元老院がすでに機能していないことを悟ったレイアは「新共和国の太陽は沈みかけている」としてここにレジスタンスを立ち上げた。（下巻P292）←実質、『フォースの覚醒』から描かれるレジスタンスVSファースト・オーダーの対立構造はポピュリスト党VSセントリスト党とも言える。だからこそ、元老院も正規の新共和国軍も登場しなかった。